だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

電話を切った後、パソコンのディスプレイから目を離さずに清水が言う。

「黒瀬からの報告です。
今の電話は特に盗聴しようとした形跡も無いそうです。
都さんがうちのものだと知っている確率は低い」

「だな」

そうであれば、相手に油断もあるだろう。

子供二人拉致しているだけなのだから。

「A-3ですね。動きが止まりました」

港に隣接した倉庫だ。
中のものをこのまま、後ろの船に乗せることができる。
他の車が行きかう辺りに車を止めた。

「そうか。清水は――」

来るな、と言いたかったのだが聞く耳は持ちそうに無い。
俺の視線を感じ言いたいことを悟ったのだろう。

薄い唇を歪めて笑って彼にしては珍しく自嘲的な笑みを浮かべた。
ほんの一瞬。

「今になって組の者じゃないから来るな、なんて仰らないで下さいね。
足手まといにはなりませんから」

ならないことは知っている。
喧嘩が趣味のそこらのチンピラとは違い、理路派の清水は練習を怠らない。

どれもこれもその道のプロを捕まえては腕を磨いていることは俺も知っていた。

「――そうか」

俺は車から降りる。
ボディガードさながらに俺の傍に居る赤城は、久々の闘争モードにテンションが上がるのか頬を紅潮させていた。