だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

「そうですね。
その件も含めて、是非とも中でお話を」

「是非そうさせて頂きたい所ですが、お忙しいでしょう?
私も、秘書を待たせておりまして。
これから、お客様との打ち合わせがあるんですよ。目立つ社用車で伺ってすみません」

「いえ」

社用車でセンチュリーってどんな会社だよっ!

……なんていう疑問は持たないのかしら、東野先生。
公務員だけに世間の基準とずれているとか?
それとも、パパのこと若社長とでも勘違いしちゃってるの?

「都、何かあったら学校から出る前に私に連絡するように。
分かった?」

「はい、お父様」

さすがに、パパとは呼びづらい雰囲気なんでなんとなく変えてみる。
っていうかね?
こんなお芝居をするならすると、事前に打ち合わせをしてくれれば良かったのにっ!

わたしの瞳に浮かぶ不服の色など黙殺して、パパは、丁寧に礼をするとセンチュリーに戻って行った。
後姿まで、計算づくにしか見えないような精悍な仕草で。

「八色、どうする?」

パパを見送った後、先生が聞く。

「うーん。
家を出るときは不安だったんですが、大丈夫だと思うので教室に行って見ます」

「分かった」

ぽんと、頭を叩かれた。その手のひらが、不自然に汗ばんでいるような気も、した。