だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

唇を開いてみたものの、伝える言葉が見つからない。

「本当に都ちゃんが望むなら、組も仕事も全部捨ててどこかで二人でひっそり暮らすことも出来るよ?」

いつもと違う低い声からは、パパの特長とも言える冗談の色が全て削がれていた。

ぴくり、と。
無意識にわたしの肩が揺れる。

あんなに眠かったのに、一気に眠気も覚めてしまったじゃないっ。

「駄目よ」

わたしは布団から抜け出して身体を起こす。
わたしを見つめるパパの瞳は、優しさが凝縮されているように揺らめいて甘い。

「そうすれば、ママも一緒に暮らせる」

思いがけない言葉に、わたしは息を飲む。

つちのこが捕獲された、とか。
北海道で大規模な油田が見つかった、とか。
歴代アメリカ大統領の二分の一は宇宙人だった、なんて言われたほうがまだ現実味があるわ。

「ママ、なんて。
わたしに居るの?」

そんな人。
居るかどうかなんて考えることすら許されない気がしていたから。

突然の存在の告白に、世界がくらりと回る。