だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

「ねぇ、パパ」

ようやく瞼があがる。
枕もとの電気だけつけて、ベッドの傍にパパが座ってくれてる。

「パパはいつ、わたしを叩くの?
それとも、ママじゃないから叩かない?」

わたしに、<ママ>なんて人物は居ないけれど。
パパがふわりと笑った。

さっきしてくれたのと同じように、大きな手のひらでわたしの頬を優しく包む。

「よっぽどショックだったんだね。
そんな親も居るってことだよ」

「それって虐待?」

谷田陸が打たれたという事実だけがわたしを不安にしているわけじゃない、と思う。
あの光景は、より酷く扱われていた二人の子供たちを思い出させるのだ。

「いや、虐待じゃないとパパは思うよ。
子供のことが心配で、心配で。
感情が抑えられなかったんじゃないかな?」

「パパはわたしのこと、心配じゃなかったの?」

ぎゅう、と。
掛け布団の上からパパがわたしを抱きしめた。

鼓動と、呼吸。
布団がすれる音。

そして――静寂が部屋を支配する。

「……意地悪なこと言わないで」

優しさと切なさを混ぜて捏ね、ケーキに飾る生クリームみたいにぎゅぎゅっと搾り出したような、甘い声がわたしの小さな胸に注ぎ込まれていく。
容量オーバーになっちゃうくらい、大量に。