だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

それからも、しばらくパパとお兄ちゃんは真剣な顔で何かを話していた。

何を話しているのか、なんてさっぱり聞き取れないくらいわたしは眠たくなっていた。
声だけが、優しい子守唄みたいに聞こえてくる。

ふわり、と。
身体が浮く。

「み~やこちゃん、ここで寝ると風邪引くよ」

パパの声に安心して顔を寄せると、そのスーツからは仄かに煙草とお酒の匂いがした。
頬に唇が触れる。

いつもなら、飛び起きて駄目って言うのに今はもうその元気すらない。
体中が鉛にでもなったかのように重たいんだもん。
瞼を持ち上げることすら、容易じゃない。

いいわ、今日はお仕事放り投げて、わたしのために駆け回ってくれたに違いないもの。
許してあげても構わなくてよ?


それに……

そっと、ベッドの上に身体が置かれるのが分かる。
パパの手が全部離れる前に、全力を振り絞ってその手を掴んだ。

「パパは大雅くんじゃないよ?」

冗談交じりの優しい声が耳元で響く。
ゆっくり、意識が戻ってきて身体が動き始める。

「どうして、お兄ちゃん?」

「べっつにぃ」

冗談を閉じ込めたふざけた口調なのに、どうしてこんなに耳に優しいのかしら。
変なの。