そして、
いくつか追加であけた身体の穴と引き換えに、

シルキスは、動きが鈍った親牛の背をついにとった。

尻尾をそぎ落とす。

シルキスは涙をふく。

そしてそのまま、


静かに、


牛の背に倒れて目を閉じる……。







幼い娘が言う。

「シルキス……、死んじゃった?」

おじさんが娘の頭に手を置いて言った。

「大丈夫」

優しく言う。

「だって、」




「死んだら地面に落ちるだろう?」

「ぶはあああっ」

シルキス蘇生、
みたいな休憩終了。

牛の背で雄雄しく立ち上がる。

正直死にそうだったが、これで牛の背飛び移り計画再開じゃね?

と思ったら元気が出たのである。

シルキスの目が光る。
そうしたら、自分の血で滑って落ちた。

「ああ~~~」

再開されるお手玉。

だが徐々に、
徐々にだが、牛達の息はあがっている。

シルキスの息はたまに止まっているが、休憩だと思えば無問題。

シルキスは、以下略。






結局。

次の日の朝までかかって、シルキスは暴れ牛の尻尾を狩りきった。

朝日を浴びて、ぼろぼろな身体で尻尾を掲げるシルキス。

幼い娘は、

……やはりこの人と結婚しよう。

そして、

……上手く使おう。

と決めて、その日はシルキスの隣の布団で寝たあと、爪を切ってあげた。





な?
どうでもいい戦いだったろ?

おまけなんだから、
忘れちゃっていいんだぜ。