仕方ない、
傷が見られないなら、状況を見よう。

たぶんその方が今は役立つ。

というわけで、シルキスは次にお手玉しようとしてくる牛を見た。

生意気に子牛だった。

シルキスはクワを握っていた手でグーをつくり、力いっぱい殴る。

「きゅー」

子牛の悲鳴。

シルキスは、器用にもうひとつの手を子牛の背につき着地した。

こっちが秘蔵だったけ?
ノコギリで尻尾切断。

「きゅきゅー」

バカ重いクワを持ってぐるぐる回転切りを成功させたシルキス。

クワを捨てれば、それ以上の動きが出来て当然。

だと、シルキス自身が今気づいていた。

【何事もやってみないと分からない】

昔の人はいいこと言った。

シルキスは、軽い動作で大人しくさせた子牛を乗りこなす。

乗馬については、昔同じような試練を受けて身につけた。

乗牛については、同じような試練の最中なのだから身につけて当然。

そして、子牛といっても本当に人間が乗れるほどでかい。

これをもっと知って欲しい。
子牛苛めとか思った人達に。