「シルキスっ、もういいっ、言うとおりにしてやったぞ。扉から離れて自由に戦えっ!」 魔王さまは、力いっぱい叫ぶ。 だが、この扉。 壊れているくせに閉じると音を通さない。 魔王さまの声は、外には聞こえず、 シルキスが外で戦っている音は、中には届かない。 塔の中は、魔王さまの叫び声以外無音。 全てを知っていて魔王さまは、もう一度叫ぶ。 「なぜ私の言うことを守らなかった、あほうっ!!」 魔王さまは、その場にへたり込み、 両手で顔を覆った。