季節は進む。 収穫期。 自然の恵みが魔王さまの領地にも届いていた。 塔の内外に大量の食物が生り、貯蔵されている。 「これは多すぎないか?」 「普通です」 地下の物置はもちろん、塔の外にも増築された食料庫。 自家栽培分と、シルキスがあちこちの農地で働くたびに手にしてくるお土産がいっぱいに詰まっている。 魔王さまだけでなく、シルキスがこのまま住み込んでも余裕で冬を越せる量だ。 「ここは辺境、多過ぎるという慢心は冬の飢餓を生みだします」 「私は、食べなくても死なないけどな」