魔王さま100分の1

「こっち来なさい」

尖った長い耳をつかまれ、男女のエルフはシルキスの前まで連れてこられる。

耳をつかんだ女エルフは、シルキスに謝った。

「すみませんっ、すみませんっ。この子達、勇者さまを見るの初めてで。本当にすみません」

シルキスも冷めた。
それだけ誤られると、こっちが悪い気もしてくる。

「あ、いえ、気持は分かります。まあ、そんなに怒らずに、泣いてますし」

「泣いてなんかいないっ」

男エルフが涙がたまった目で言って、耳をねじられた。

「おだまりっ」
「痛たたたたっ」

女エルフはしょぼーんとしつつ、やはり涙が溜まった目でシルキスを睨んでくる。