魔王さま100分の1

「な、なんだっ?」
「逃げろっ」

銃口先から逃げる周囲の人間。
シルキスは動かず、エルフが持つ銃を見る。

両手で構える大型の銃。
先から肩当ての部分まで黒一色。

鈍く輝く表面から、遠目にもきっちりと手入れしてあるのが分かる。

全くの勘だが、性能もシルキスが今まで見たどんな銃よりも上。

以前、壁の視察に来た中央の軍人がもっていた連発式の銃が貧弱に思える。

引金の前のでっぱりが弾が詰まっているところだとして、

猟師達から噂で聞いた、こっちが一発撃つ間に百発返ってくるというやつか?

「面白い……」

口が動く。

同時に、魔王さまの怒っている顔が頭に浮かんだ。