果林ははやる気持ちを抑えて慎重に家を抜け出した。
メールで教えてもらっていたご主人様の車種、その車が停まっていた。

一瞬、いろんな想いが交錯した。
こうなるまでの経緯を思い出した。ブログに出会い、衝撃的な内容に引き込まれ、ついには自らコメントを寄せ、その本人に今出会う。もしかしたら始めてコメントを寄せた時からこうなることを望んでいたのではないか。そう思った。いや、きっとそうなのだろう。あんな愛し方をしてくれる張本人に愛されてみたい。素直な気持ちだった。

しかし何を思おうと今そこに現実に彼がいる。

どんな人?

どんな声?

メールでの印象どおり?

見かけはなんの躊躇もないように助手席のドアを開け、飛び込むように乗り込んだ。