手紙をにぎりしめてくしゃくしゃにしてまたダウンジャケットのポケットにしまった。


このメールの後に、彼女がいる病院の詳しい情報が送信されてきた。


もう僕は、いてもたってもいられずに、飛び出してきた。


アコ アコ アコ。


君にひかれていたのは僕のほうさ!


毎日看護師として働く君の姿を、僕は想像していた。


患者さんを励ましているアコの可愛い笑顔が浮かんだ。


そうか、アコ…


君が…君が看護される側だったなんて、僕は全く気がつかなかった…


本当は何歳で、どんな人なんだろう。


君について知っている事がごくわずかだと気づき、また心臓を誰かがつかんだ。


わかってる、変わるんだ、僕は…。


会うんだ、アコとゆう生身の人間に。


僕はタクシーを呼んで、アコさんの入院している病院に向かった。


カミサマホトケサマ!

彼女がどんな外見でも、年齢でもかまわないから生かしてください。


生きて僕に会ってください。


僕は下をむいて、歯を食いしばった。


顔を上げ窓の外を見ると、眼下に海が広がっていた。


「あーお客さん、どーしたの?海みたことないんか?まあ見ない顔だし、この辺りの土地の人じゃないねー、大丈夫かい」


運転手もびっくりするくらい、僕はこらえきれず泣いてしまった。


彼女のblogの自己紹介ページにはこう書かれていたのを思い出して…


「死んじゃったらお墓なんてくらーいとこ、入りたくないです、うちの近くのキレーな海に還りたい」

還りたい…


「お客さーん、病院着きましたよ」


僕はそのこじんまりして周りになにもない病院の中へ勇気を出して足を踏み入れた…


キュッキュッとゆうナースシューズの音、鼻をつく消毒液の臭い。


「すみません、ミヤムラアコさんの病室は?」


忙しいらしくナースステーションから返事がない。


すると、誰かが背後から僕のリュックを引っ張った。


誰だ??