近距離恋愛【短編】

ノブは、ニコって笑って。

今まで見たことないくらい、

嬉しそうに笑って。

『いいよ』

そう言って、あたしに

自分のケータイを突き出した。

『若菜の気に入らない名前

 全部消していいよ』

そんなこと、できないよ。

でも、その言葉が嬉しい。

『こっち、来る時に。

 家も学校も生活も

 全部捨てて飛び出して来たんだ。
 
 別に、もう。

 何もいらなかったから。

 だから、いいよ』

そう言いながらノブは。

あたしの手に自分のケータイを握らせた。

そして。

『そのかわり』

ノブは、言ったんだ。

言ってくれたんだ。