近距離恋愛【短編】

『話、ってなに?』

ミカの顔見てると

いつも隣にいる若菜を思い出す。

俺は、ミカの顔を見ないように

ミカに聞いた。

『ノブ、あんた。

 なんで、若菜のこと

 振ったりしたのよ?』

振った、か。

あんだけ拒否られて

振られたのは、むしろ俺じゃね?

『振った、っていうか

 若菜、俺のこと拒否るし

 俺、嫌われてんだろ?』

俺は、思ったままを言う。

ミカの表情が険しくなり

ネコ目っぽい目は、

さらに釣り上がっていく。

『若菜は、ノブの事。

 嫌ってなんかない!
 
 好きやけど、好きやから。

 恥ずかしいだけやねん。

 そんくらい、分かったれ、このアホが』