だって、女なんだもん… 仕方ないじゃん!

「ご馳走様でした」
私は頭を下げ、お礼を言った。

「何か、ゴメンネ…。ゆっくり、話すことも出来なくて…」

「いえ…。イイお店を教えて頂いて、嬉しかったです」

「そう?良かった…」

「じゃ、私は…これで…」

「あっ…。うん…」

「今日は、本当にご馳走様でした。おやすみなさい…」
佐々谷圭介に、頭を下げた。

「あっ…。うん…。き、気を付けて…」

「はい…」
私は後ろ髪を引かれながらも、帰る方向を向き歩いた。


「き、恭子ちゃん!」
佐々谷圭介が、走ってやって来た。

「はい…」

「あっ、あの…」

「はい…」

「また、会えるかな?」

「はい…。あっ、でも…、ご家族がいるなら、無理しなくてもイイので…」

「家族は、居ない…。だいぶ前に、別れたんだ…」

「別れた?」

「あぁ…。僕、バツイチなんだ」

「バツイチ…」

「あ…。バツイチに、また会いたいなんて言われても、迷惑だよね…。ゴメン。忘れて…」
そう言って、佐々谷圭介は私に背を向け、歩き出した。


「ま、待って!圭介さん!」
佐々谷圭介の後ろ姿を見た私は、思わず叫んでいた。