『行っちゃったね…』

2人の出ていった扉を見つめながら夕陽が呟いた。

『恭次、おもしれぇな』


大斗はとても優しく笑っていた。


『きっと…もう2人は大丈夫だよ。きっかけが無かっただけだから。進藤さん、アンタに話しができたから、恭次に対しても前に進めるよ。後は、恭次次第…かな?うん。お前は、本当に変な女だ、それが間違ってない』


変って…?大斗の言ってる意味がわからない。

あたしは南深に何もしてないし…

「恭次次第」って何だろう…??


『前に言ったじゃん、アンタには何でか話をしたくなるんだ。きっかけを作ったのは片桐さんだよ。』


あ…GWに…小川で…。


『でも、南深…泣かせちゃった…。いつも素直になれないから、明るくして誤魔化してたって、そこまでわかんなかったよ』

『進藤さんは自分から話したんだ。本当は誰かにずっと聞いて欲しかったんだよ。恭次は恭次で俺と居るのを聞いて飛んで来たじゃん?僕そんなに危なくねぇよっ』
   

冗談っぽく項垂れる大斗。


『きょうちゃん正解!!大斗は危ない♪』

『ヨーヨーより乳ないくせに…うるさい…』


大斗はわざとっぽくボソッと言った。

バシン!!

大斗の呟きに夕陽はヨーヨーで叩く。

『もうーっ!』


和やかな空気が充満する。


『ところで…それ…先輩と喧嘩した時のキズ?』

夕陽が指差したのは大斗の口元の絆創膏

『違う…きょうちゃんのおバカがね…』


と苦笑い?


えっ?


『男の子の秘密♪』


なんだか嬉しそうに大斗は言っていた。恭次くんと何があったのかなぁ…


『お前が心配する事じゃないよ』


そう言って…やっぱり大斗は笑っていた。

何だぁ…?分かんないのぉ…?

でも…


南深達の事気になるけど、何だか2人は平気な気がした。

大斗がそう言うからかなぁ?あたしまた流されたかも…


でも、大斗は人の気持ちがよくわかる…



『大斗君』


その後…あたしの瞳の前で名前を呼ばれた大斗は席を外してしまった。