瞳と瞳が合った…
『ひろと…?』
僅かな距離に、少し寂しくなって小さく名前を呼んでみた。
大斗の手はあたしの顎をそっと持ち上げる。
『俺…』
小さな声が届いた…
空は茜色に染まり行く
少しづつ碧を染めて行く
ちゅっ
唇が塞がれる
キラキラ キラキラ 夏の海。
2人だけの世界…
『お前の事…好き…』
聞こえるのは波の音…
あたしを見据える大斗と背景が、とても綺麗だった。
もっと強く強く抱き締められた。
あぁ…なんだか…胸に言葉が浸みる…
夕焼け空が広がるように…
なのに…
『…みたいだ?』
え…っ?
いつも「何だよソレ?」って言う時のきょとんとした顔で、あなたはそう続けた。
ドボーン!!
あたしは思わずズッコける…
みたいだ?
ハテナ…?
さっきの雰囲気、いずこ?
『みたいだって…疑問系…?』
そう呟いて波の中から大斗を見上げる
…
えっ・・・??
…
トプン。
すると大斗の視線があたしに並ぶ
空の下。
海の中。
波の中。
ユラユラ キラキラ
膝をついて揺られるあたし達。
空はすっかり茜色…
『「好き」なんて気持ち、やっぱりよくわかんねぇよ』
あたしの瞳を見つめる綺麗な綺麗な大斗の顔。
その顔は空の色…
夕日に照らされたから…そんな色?
それとも…
『だけど、俺は他の誰でもなくて、お前にいつも会いたい』
何だかその絵に胸がいっぱい。
息が詰まる…
『俺、お前が居ないと窒息するっぽい』
あたしの頬にはあなたの手…
涙を堪えるので精一杯…
泣かない…
泣き声で、あなたの声が聞こえなくなったら嫌だもの…

