『そうだ、ちょっと待ってろ』

大斗は思い出したように言って裏に消えて行った。


何だろ?


『これ、マスターから誕生日祝いだって♪』

そして、夕陽の前にピンク色にデコレーションされた小さな苺のケーキを置いた。


『こら大斗!!勝手に出すなよなぁ!!』

マスター大斗の後に続いて来て言った。


『マスター♪』

『夕陽ちゃん、遅くなってしまったね。16歳おめでとう』

『しげさん…ありがとうございますぅ…』


ゔぅ…また泣けてきてしまう。


『すぐ泣くしっ!!』

夕陽を指差して大斗は笑う。

『大斗、人を指差すなよ。女の子なんだ、泣いていいんだよ。』

マスターは優しく言った。

『マズダーーっ…優しいっ』

更に機嫌が悪くなった大斗には指差しながら

『こいつなんて、男なのによく泣いていたもんだ。』

とニヤリ

『ブハッ!!ブッサイクー!!』

大斗は聞いていませんとばかりにマスターを無視し夕陽に八つ当たり気味だ。


『コラッ!大斗!!夕陽ちゃんが男の子と話してたからって焼きもち妬くなよー♪』

マスターはそんな大斗にヘラリと続ける。


もう…マスターまでっ!!


『ふざけんなジジィ!!焼きもちって何だ?!』

『醤油付けたらうまいぞぉ♪』

アハハー!とマスターは行ってしまった。


『全くあのジジィ!!』

『店長ってお茶目さん♪素敵♪』

『ったく…お前はフラフラ気が多いな?』

『違うもん!!最近ナンパだって断ってるし!!もう今までみたいにはしないもん!!』


あたし…

もう今までみたいに気持ちの無いままフラフラしない。


『あたし…ちゃんと…新しく恋をしたい、な。』

夕陽は、小さな声で呟いた。

『そうしろ』


大斗は一言。


『ねぇ?ひろとぉー』

『んー?』

『コレ付けて!!』

夕陽は、咲がくれたネックレスを取り出した。


大斗は一度笑顔を溢し

『後ろ向いて』


キラキラ+


胸元でネックレスが揺れた。

『ありがとう』