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『今更だけど…うちのクラス何屋さん?』

文化祭当日、自分のクラスを見渡して夕陽は言った。


女の子はチャイナ服。

何故だか男の子はギャルソンの格好をしている。


教室はカフェのように机が並べられて、端にはBarカウンターが設置されていた。

売るものはチャイナチックな飲み物や甘味だが、なんだか変な空間だ。


Barカウンターには大斗が立ち、色々な種類のタピオカジュースを作っている。

『さっすが、人気者の神崎よね?すっごい行列♪』

大斗の前の女の子達の長い列を見て杏が呟く。

『本当に、なんだかね?大斗がモテる理由が知りたいわ…。将来はホストかしら?』

夕陽はそう言って調理室に向かった。


大斗は例の笑顔でどんどん飲み物を作っていく。

『これ買ったら杏仁豆腐も食べていってね♪』

そんなこんなで、夕陽のクラスは大盛況。


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『休憩すれば?はいどーぞ♪』

夕陽は午前中は調理室で甘味作りの係だった。

そこへ大斗がピンクのタピオカジュースを持ってやって来た。


あっ苺ミルク…


『何か大斗のお陰で忙しそうじゃない?』

"苺だ"を気付かれないように何食わぬ顔でジュースを飲みながら、ちょっと嫌味っぽく言ってみた。

『まぁね♪結城蒼師匠の話術のタマモノさ♪』


マスター直伝なのね…なんだか納得…。


『でも、もぅ面倒臭いよ…たいして金にもならねぇし』

ダラッとと机に座って言う。

『ひどっ…みんなこの機会に大斗とお近づきになりたくて来るんじゃない?面倒ならスマイル0円振り撒かなければいいでしょ?バカね』

『それは寂しいから嫌…』

『はぁぁ…?お兄さん言ってる事、意味不明だよ…』

呆れて夕陽は答える。

それには何も答えず大斗は

『さてと、行くか?』

とお菓子の入ったワゴンを押し出した。


『あ…ありがとう』

『これ運んだら調理室交代でしょ?咲もそろそろ来るかも?』