すごい音がした。

振り向いた交差点の向こう…

拓ちゃんの後ろ…

優衣さんが追いかけてきた所…


あたしと拓ちゃんが振り返ると車が電柱に突っ込んで周りの交通が止まっていた。


事故…?ちょっと待って…

雨が吹き付ける。

秋の台風の日だった。


追いかけてきた優衣さんは、視界が悪くなった道路の真ん中で倒れていた。

血…何?

何が起こったか、状況が把握できない…。


頭では理解出来なかったけど、ちゃんと身体はわかってて…

雨と同じくらいの涙が流れてきた。


『いやーっっ!!!!』


ピーポー ピーポー ピーポー…


救急車や警察が来る。


優衣さん…??


あたしのせいだ…


あたしが走って出ていかなければこんな事にならなかった。


――――
―――――


優衣さんは重体の怪我で病院に運ばれた。


次の日、目が覚めたと連絡が来て、拓ちゃんと病院に向かった。

『ごめんね…』

あたし達に気付いた優衣さんが口を開く…


「ごめんなさい」を言うのはあたしだ。

優衣さんも拓ちゃんも大事な時になのに、こうなったのはあたしのせい。

もうこれ以上わがままにしていたらいけない。


『ごめんなさい…拓ちゃん。』

『夕陽のせいじゃない』


拓ちゃんは優しい。

やっぱり、あたしは贅沢だ。