しばらくして、頬をくすぶる手で目が覚めた。 「…んっ……くすぐったい…」 閉じていた瞼を少し開ける。 目に映るのはグレーのスーツ。 目線をあげると緩めたネクタイ。 「おはよ…起きた?」 そして聞き慣れた声。 「……琥宇桜…」 私の頬を撫でていた琥宇桜の手をぎゅっと握った。 .