カズマさんも、
あの日以来ずっと筆を取っていません。

オソトを描くときに使っていただいだい色。
鱗を美しく見せるための金色。
鱗のつやをより際立たせた白。
ほんのり混ぜた黄色。
鱗の影をつけた赤。
金魚鉢の水色。
オソトがじゃれついていた水草の緑色。

どの色を見ても、
オソトを思い出すのです。
確かにあのとき、
無邪気に泳ぐオソトを
いろんな色を使って描いていたことを。