2人の考えが一致し、
愛美ちゃんたちがA組の
教室から出てくる前に
私たちは我を忘れて走った。


辿り着いた場所は
2年B組。


教室のドアに手を掛け、
今更気付いた。


さっきまでの行動は
五里霧中だったんだ。


そう、まるで霧の中を
走ってるように。


行き場なんて私にない。


だけど、彩ちゃんがドアを開けていた。


まるで、スローモーションを
見ているようだった。


彩ちゃんはドアを開けて、
目をギュッと瞑って、
叫んだ。


「いじめたいなら、
 いじめれば良いじゃない…!」


…何言ってるの、って唖然となりながら
私は恐る恐る教室内を覗く。


「でも、いじめっ子って
 弱い人がやるものだと思う。」


みんな、手、足、全て
行動を止めて
ポカンとして彩ちゃんを見ていた。


もう1度何か彩ちゃんが叫ぼうとした時。


ごめんって声が聞こえて
嘘だ…って目を見張った。