バシ…バシンっ…。


え…。
ほっぺたが熱くなってきている。


「…いたっ…痛いっ…痛いよっ…!」


頬がひりひりと痛み、
私は思わず悲鳴を上げた。


「…愛美ちゃん…?」


愛美ちゃんの顔がドアップだった。
今起きたばかりで
体がだるい。


…叩かれていた?



愛美ちゃんからは
どうしても逃げたかった。


「…や…!」


私は恥もかき捨てて
清潔なベッドを飛び出した。


保健室だった。


病院かなって思ったけど
保健室だった。


カーテンをシャーっと開けたら
怪我や病気の生徒たち、先生に
注目されたけど
私は愛美ちゃんほど怖い人は
いないって本能的に思って
廊下に飛び出した。


保健室はとても
暖かかったけど
廊下は本当にひんやりしていた。
肌寒い。


私の上履きの音が廊下に響く。


ガラガラ…と音がして
私は無意識に走る速度を
速くした。