次の瞬間、


「美羽!
 足音聞こえる…!
 来て!」


彩ちゃんに制服の襟を引っ張られ、
私たちは階段の陰に隠れる。


職員室と階段は近いから
すぐに移動出来た。


「…梶原先生だ。」


足音の主は教頭の梶原先生。
いかにも厳しそうな女教師で
私たち中学2年生はこの人に
何も習ったことがない。


教頭先生の役目は何だろう?


梶原先生は静かに職員室の
戸を開けて入って行った。


「…見た?
 青井先生、見えた?」


階段に腰を下ろしながら
彩ちゃんは憂鬱そうに私に聞いてくる。


「…うん…。
 坂井先生、青井先生のこと
 無視してたよ…。」


私もしょんぼりしながら階段に
腰を下ろした。


「坂井…酷いよね…。」


いつもの私なら、


彩ちゃん!ダメだよ、呼び捨てなんて。


とか何とか言ってただろう。
でも今はそれどころじゃなかった。
凄くショックだった。


「青井先生…大丈夫かな…。」