「あたし…ごめん…。」


まずいきなり謝られ、
私はかなり戸惑う。


後ろを振り向くと、
有馬さんと田邨さんも
?を頭上に浮かばせている様子。


「あの…あたし、好きな人がいて…
 だけど親友の美羽にこのこと、言わなかった…。」


勇気を振り絞って言った
彩ちゃんの顔に戸惑いの色なんて
見えない。


有馬さんたちがいる中でも
気にしないで言える
彩ちゃんは凄いと思う。


それに…私のことを
親友って言ってくれた。


その言葉を、彩ちゃんの口から
聞いた途端、痛みなんて忘れて
口元がつい、ほころんだ。


「この前…告白した…
 その人に…。」


「…そ、そうなんだ…。」


なんて相槌を打っていいか
なんて分からなかったため、
私はこんなことしか言うことが
出来ない。


「そしたら…断られて…
 あたしっ…。」


彩ちゃんが下を向いて
涙をこぼした。


ココアの缶を、
屋上のコンクリートの
床に置いた。


…相槌を打つことも…
息をすることだって…
安易じゃない───