誰かに突き飛ばされた…
と思う。


トイレの床に思いっきり手をついた。
誰…?


涙目になりながら
愛美ちゃんたちの方を
振り向いた。


愛美ちゃんは足を組みながら
トイレの壁に寄りかかっていた。


「美羽ちゃーん?
 うちらと彩ちゃん、
 どっちが大事?」


「そんなの彩ちゃんに決まってるよ…!」


言ってからマズいって思った。
でも…愛美ちゃんたちのこと
全然知らないんだもん…。


「へーぇ?
 じゃあ大事な彩ちゃんに
 蹴られても耐えられるよね?」


「は…?」


何それ…?
何…何…どういう意味…。


彩ちゃんに蹴られる?
彩ちゃんがそんなこと、
するわけないじゃん!


「ほら、彩、あのこと、
 学年中の人に知られたくないんだったら…
 美羽ちゃんを蹴りな。」


愛美ちゃんが意地悪く笑った。
怖い。


あのことって何?
彩ちゃんは…弱みを握られてるの?