しぃちゃんの手術の日が決まった。
3月22日。
病院は専門医であるU産婦人科に代わっていた。H病院の医師の紹介である。
僕のアパートから近い。
「毎日来れるね」
しぃちゃんの言葉だ。
言われなくても毎日お見舞いに行くつもりだった。しかしそこは産婦人科。男の僕にはかなりの抵抗があった。しかも世間一般から見れば他人の間柄である。
そんな僕がお見舞いの為とは言え、産婦人科に通っても良いのだろうか?
はなはだ疑問であった。
トリニータは第3節のアウェー新潟戦を1-0で勝ち、開幕3連勝を飾っていた。
今年のトリニータは強い。次節はビッグアイに鳥栖を迎える。
鳥栖戦は3月21日だ。
しぃちゃんの手術の前日だった。
僕はある事を決心していた――――
僕は会社に無理を言って20日から5連休を貰った。
「なぁに、有給休暇は削られる程あるんだ。休め、休め」
上司の言葉である。
しぃちゃんの件は話さなかった。
「私用により」
休暇届けにはそう書いた。
別に隠してる訳ではないが、理由が理由だけに言いにくかったのは確かだった。
そして20日。
僕は大分スポーツ公園へとやってきた。
目的は、しぃちゃんのレプリカユニホームに吉田選手のサインを貰う事。
今まで練習見学はおろか、選手の出待ちなんかした事もなかった僕は、妙な高揚感と共にやってきた。
(´・ω・`)
(うあ・・女の人ばっかですよ・・)
芝生のコートで練習している選手達を見守っているのはほぼ全員が女性。
男の人もいるにはいるが、女性の付き添い、またはカップルと言う具合だ。
僕は場違いな所に来たな・・と言う思いがした。
だが、そんな事も言ってられない。絶対に吉田選手のサインを貰わなければ。
僕は使命感でいっぱいだった。
(´・ω・`)
(イッパイイッパイとも言います・・)
練習見学も上の空で何を見ているのか分からない状態だった。
ただ目で追うのは吉田選手だけだ。
(´・ω・`)
(悔しいけどカッコイイです。吉田孝行)
練習も終わり、選手達が引き上げてくる。
僕はどうして良いのか分からず、集まっている女性達の側に移動した。

