快晴の秋空の元、試合開始のホイッスルか吹かれた。
2トップはアンドラージャと吉田孝行。
今シーズンお馴染みのコンビはここ終盤に来て得点力はやや落ち気味だが、トリニータの頼りになる黄金の2トップだ。

26分、左サイドから山根巌がペナルティーエリアに自ら切り込むと鋭く左足を振り抜いた。
ボールは勢いよくピッチを転がり、GKの脇をすり抜けサイドネットを揺らした。

先制したトリニータはやや引き気味に試合を運び、1点を守り勝利した。

C大阪は同時刻横浜FCに6-2と大勝したが、新潟と福岡は引き分けた。

この試合結果を受け、大分トリニータの2位以内が確定した。

大分トリニータはJ1昇格の切符を手にした。



僕はその頃、ようやく仕事のめどを付け最後の書類を提出した。
この一週間の忙しさから開放された瞬間であった。
すかさず上司から飲みに行こうと声が掛かる。
今日は別にしぃちゃんとの約束もないしまあ良いかと、その誘いに乗った。

(´・ω・`)
(ここ一週間のがんばりを労ってくれると言うので、飲みに行って来ます)

しぃちゃんにそうメールを打って、会社を後にした。

携帯をデスクに置いたまま―――。







上司と歩いて近所の居酒屋へと入ったのは午後5時を少し回った時刻だった。
生ビールと適当に摘む物を注文し、膝を崩す。
その時何かが胸に引っ掛かった。

(´・ω・`)
(・・何だろ?何か忘れているような気が・・)

すぐさまビールが運ばれてくるとその思いもどこかに行ってしまった。

「お疲れさま、いやほんとご苦労でした」

上司の労いの言葉で乾杯をし、仕事や遊びの話を弾ませた。

1時間程楽しい時間を過ごし、しぃちゃんからのメールの返信でも確認しようとしてポケットを探る。
僕はここで携帯を会社に置きっぱなしていたのに気がついた。
しかしほど好く酔っていた僕は大きく気に止める事はなかった。

(´・ω・`)
(まあ月曜には会社に行くんだし良いか・・)

携帯にはしぃちゃんからの着信が何件も入って来ていたのにも、当たり前だが気付く事はなかった。