「静かだねぇ。雨の音しか聞こえないね…。」 背後に寝起きで少し掠れたウーチャンの声を聞きながら、僕はゆっくりと頷いた。 「うん。本当に静かだね。」 暫くの間僕たちは耳を澄まし、雨音が奏でる音楽を聞いていた。 「タイチ、今日は柴山先生がハウスの野菜の収穫を手伝って欲しいって言ってたけど…。」 「あっ、そっか!忘れてた。もうそんな時間なの?」 沈黙を破る浩史の声に、僕は慌ただしく服を着ると彼と共に霧雨の中を校舎の裏手にあるビニールハウスへと駆けていった。