カッコウ…カッコウ…。

カッコウの鳴き声と、キツツキのドラミングの音で僕は目を覚ました。
目覚まし時計を見ると、まだ朝の5時30分だ。

「なんだか、すっきり目覚めちゃったなぁ。仕方ない、散歩でもしよっかな。」

僕はブツブツ独り言を言いながら、ジーンズとパーカーに着替え宿舎の外へ出た。
夏とはいえ、早朝の美瑛は空気がキンと冷えていて、林道にはうっすら霧が流れている。
朝露で濡れた草を踏みながら、坂道を登っていくとボンヤリとした人影が見えてきた。


「あ、おはよう!」

こちらを振り向いて、声をかけてきたのは松浦だった。