「ねぇ、その柴山って人知り合いなの?」

僕は、少し声を張り上げもう一度両親に尋ねた。

「ああ、太一…彼はね、音大の同級生だよ。当時は3人でアンサンブルをやってたんだよ。彼は、凄腕のバイオリニストさ。」

「そうそう、とにかく表現力が凄いのよ。素晴らしかったわよ、彼のバイオリンは。彼のレッスンを受けられるなんて、太一いいわねぇ。母さん羨ましいわぁ。」

…なんだか二人の話を聞いていると、合宿大歓迎!明日からでもどうぞ!って感じじゃないか。
まぁ、柴山講師と僕が何らかの縁があるのなら、気持ちも少しは楽だけど。
あまりにあっさりとした両親の反応に、僕は少しだけガッカリした。