《木本side》 白川が投げた本は、 投げたのとほぼ同時に図書室のドアを開けた男に命中した。 「いってぇな…。」 と、その男は言った。 …にしても、 パソコンが置いてある場所から図書室の入り口までは、 かなりの距離があったはずなのに、 白川は正確に、 入ってくる男に本を投げた。 …すごすぎる。 反射神経、視力、運動能力……。 確かに、ここまで兼ね備えた生徒はなかなかいない。 白川が選ばれた理由は、これだ。 「ゼロ様は、偉大なお方だ。」 考え事をしていたのを遮ったのは、その男だった。