《…沙弥…は、
生きてます……よ…。》


その時突然、
誰かの声が頭に響いた。


『金石』には聞こえなかったが、
金石には聞こえた。


(え……?
ホントですか?!)


《あなたも知っているはずですよ……。

あの子が、そう簡単に倒れはしないことを。》


その女性の声には、なぜか聞き覚えがあったが、
誰かまでは分からない。


それよりも、
『沙弥が生きている』と聞けただけで、
もう十分すぎるほどだった。


(良かった…!
生きてるんだ…!!
良かった……。)


《…隼くん。

あなたにも、
【やるべきこと】、
【知らなければならないこと】があるはずでしょう…?

決して諦めてはいけません。

現実から逃げようとしないで………。》


女性の声は、それで途切れた。


(俺の、【やるべきこと】……。
【知らなきゃいけないこと】………。)


よく考えなくても、
現に、謎だらけだった。