「言っておくけど、
実力も俺の方が上だし、
発動できる呪文の数も俺が上だ。

…『俺』を助けられる可能性は、
ゼロだ。」


蔑んだ目で沙弥を見つめた。


「………っ。」


悔しさに、唇をかんだ。


「…それに。
岬の“風”じゃ、俺の“炎”は消せないよ?」


そう言って、
何やら呪文を唱え始めた。


「【我が憤激の炎、
燃え盛る敵愾心よ、

憎き敵を焼き尽くせ。

《怨念の猛火》!!】」


赤黒い炎が、すごい勢いで沙弥に向かっていく。


(な…何か呪文を…!!

でも何も出てこない!)


頭が真っ白になった沙弥はもう、
金石の炎の餌食となっていた―――。