金石が飛び上がったとたんに、
呪文を唱えた。


「『風よ!
この世界に満ちる大気よ!

汝の力を我に与えよ!

千代の春風、《春の嵐》!!』」


そな瞬間、
ものすごい突風が金石に襲いかかった。


明らかに、その突風は金石を飲み込んだ。


「ダメージは…あった…はず。」


沙弥の前に広がるのは、
なぎ倒された木々たちだけ。


金石の姿はどこにも見えなかった。


「すごく遠くに飛ばされたのかな…?」


沙弥は目を凝らし、
遠くの方を見た。


するとその時、


<ウ…シ…ロ……。>


微かに沙弥の耳に入った、何かの音。


「え?」


バッと後ろを振り返ったその瞬間、


目の前には巨大な火の玉が近づいてきていた。