「…………。」


しばらく沙弥は、
目を閉じてその場に立っていた。


(腸が煮えくり返る、
ってこのことを言うんだろうな…。

…でも、うさたん。
『憎しみ』に任せて戦っちゃダメだよね。

………。

あたしが今やるべきことは、
あんなこともしてしまう『金石』を、救うことだよね。

悲しむことでも、
怒り狂うことでもない。

…あたしはやるよ、うさたん。)


「ん?
岬、どうした?」


金石は沙弥の顔を覗き込んだ。


すると、
沙弥はゆっくりと目を開けた。


「…金石。

あたしが、全力で助けてあげる。」


その瞬間、
ボソッと「ホウキよ」と呟いた。


そして、沙弥の手に握られたホウキに乗って、
バッと森の上へと飛び上がった。


「ふっ…。
そうこなくっちゃ。」


『金石』も同様に、
ホウキに乗って飛び上がった。