《…どんな過酷なことが待ち受けていても、ですか?》


「………うん。」


《そうですか…。

…あ、もうすぐそこです。》


ウサギが指した方を見ると、
そこだけポッカリと穴が開いたように木がなかった。


そして、
ウサギの言っていたその場所に1人と1匹は降り立った。


「特に何もないけど…?」


周りを見渡すと、
うっそうと生い茂る木々が広がっているだけだ。


上を見上げると、
雲一つない青空が見える。


耳を澄ませば聞こえる、
鳥たちの声と木々のざわめき。


(…見た限り、
森の中にできた広場のようなもの、
ってだけだよね…。

あとは何も…。)


と沙弥は考えていた。


《ここは、サヤ様にとって大事な場所…なんですよ…。》