一気にホウキの速度が上がり、
沙弥は一瞬落ちそうになった。


(す、スリル満点なアトラクション…!!)


ホウキをつかむ両手に力を込めて、
沙弥はそのスピードに耐えるのだった。


―――数分後。


あんなに遠くに、
小さく見えていたはずの城が、目の前にそびえている。


「……。」


沙弥は口をポカンと開けて、
ホウキの上に乗っていた。


「こ、こんなに大きかったか…?」


唖然としていたが、
力を入れ続けていた腕がしびれたので、


とりあえず城の前の芝生の広場のようなところに降り立つことにした。