(み、『水』を吸う…だと…?)


《あぁ。
そうすれば楽になれる。
呼吸もできるよ。》


(………。)


考える暇はほとんどなかった。


息を止めておく限界は必ずおとずれる。


だから…。


本能的に、
金石は周りの『水』を吸い込んだ。


…ゴボッ。


(……。

お…れ……。

まだ…生きてる……。)


目を開くと、
視界は揺れている。


海の中をゆらゆらと漂っている感覚。


(…なんだか、気持ちいい………。)


《そうだろ?》


頭の中に響く声。


《お前が、『俺』で満たされていくのを感じるか?》


楽しげに話す、その声。


(………。

俺の…中に…
何かが入り込んでくる感じがする…。

足りなかったものが、
入ってくるような……。)