「ケータイにかけても出ないし…。」


今、沙弥のケータイはマナーモードになっていて、


ポケットに入っているものの、沙弥は全く気付いていなかった。


時刻は10:00を回ろうとしている。


―――あと10秒。


(ただ悩んでいたって仕方ないな!
あたしらしくもない!

3人にちゃんと謝ろう!)


もう10時になろうとしていることに気付かない沙弥は、
立ち上がって食堂の入り口をバンッと開けた。


「あっ!!
沙弥!!」


沙弥が謝るより先に、
水華が沙弥に気付いた。


「みんな!
ホントにごめ………。」


沙弥の腕時計の針は、
10:00を指した。


そして、
沙弥の体は、前に倒れた。


続いて、
金石もふらっとしたと思ったら、
倒れた。


「!!」


水華は沙弥を、
木本は金石を支えた。


「おい、金石!
どうした!」


「沙弥!沙弥ぁ!!」


2人の必死な呼び掛けが、
静かな食堂に響き渡る―――…。