《…ずっと、君の側にいるから。》


「でも…。」


(見えないのなら、
いないのと同じだよ…。)


少女はそう思った。


《ずっと…。
見てるから…。》


その瞬間、
寒気が襲った。


(この人は安心できる人じゃない…。)


直感的に、そう感じた。


少女が黙っていると、


《どうしたの?
怖くないから。
大丈夫だよ。》


と男は優しく言った。


少女は耳を澄ませ、
その声がどこから聞こえてくるのか考えた。


…右からも、
左からも、上からも、下からも聞こえる。


男のいる方向が検討もつかない。


《怖くないから…。
さぁ、こっちへおいで。》


妖艶な声で、
男は少女を誘う。