「そうだな…。
ゼロに選ばれた俺たちのうち、
2人が過去の記憶がないんだもんな。」
沙弥はゆっくりとうなずく。
(水華と木本は、多分記憶はある。
水華は、
「幼稚園の時、色んなとこから落っこちたから頭悪いのかな〜」とか言ってたし…。
木本も、
「小学校に入学する前には、周期表を全て暗記していた。」
とか言ってたしな……。)
「はぁ…。」
沙弥はため息をついた。
「どうしてこんなことになったんだろ…。」
空に輝く月を見上げて、
そう呟く。
早く終わればいいのに、
と思う。
これが夢ならいいのに…。
そう思って、試しにほっぺたをつねってみたものの、
やっぱり痛い。
「俺も同感…。」
疲れたように、金石も月を見上げて言った。


