真っ直ぐに見つめる、
その瞳。
何も話さない金石。
「…金石?」
手を握られたままの沙弥は、
無表情の金石を見つめ返す。
(反応がない…。
まさか、意識がないの…?)
「金石!金石!
しっかりして!」
沙弥は、金石の体を揺らしながら、
金石の名を呼んだ。
すると、
金石は目を閉じた。
「…金石?
もう、平気?」
もう一度、金石に話しかける。
「…う……。」
ゆっくりと、再び目を開けたが、
その瞳は元の黒に戻っていた。
「金石…。」
聞きたいことはあるのだが、
うまく言葉にできない。
それでも何か言いたくて、
沙弥は金石の手を強く握った。