「あっ、えっと…私は宮下君と同じクラスで、先生に頼まれて忘れ物を…届けに……。」 とっさに思いついた嘘を出任せに言う。 綾さんは変だと感づいているのか納得した様子はない。 「陸、本当なの? それだけなの?」 陸が私をちらっと見たのには気づいていたけど、あえて知らないふりをした。 目を合わせたら、私の心が耐えられない気がしたから。 「…………………うん。」