彼が彼女になった理由(ワケ)

今思えば、私が自惚れる原因は綾斗にあった。

モテるのに女の子に素っ気ない綾斗。
綾斗が甘い顔をするのは私だけだったから。

「綾斗くんって絶対、夏波が好きだよね〜」

そんな言葉を何度も聞いてきた。
中学、高校…
クラスが違っても綾斗と私は繋がってる気がした。

最初は綾斗の事なんて男友達の1人だと思ってた。

でも綾斗が私に触れる度。
笑う度。
名前を呼ぶ度。

私は綾斗を「男」と認識していった。
そして去年のバレンタインへと至ったのだった

今思えば、綾斗の行動は私を恋愛対象として見ていたのではなく。
大切な友達として見ていたのだろう。

女の子に素っ気ない綾斗も友達なら話は別。
どうして早くそれに気付けなかったんだろう…




『あー、食った食った。』

綾斗はハンバーガーを完食し、ゴミを飲み終わった烏龍茶の紙コップへとまとめた。
ゴミが溢れたコップはトレーへ倒れ込む。

それと同時、綾斗は口を開いた。

『そろそろ行くか。 家まで送るよ。』

…今日が終わる。
久しぶりに綾斗と遊んだ今日が…

楽しかったな。
面白かったな。

また…遊びたいな。

『綾斗。 また誘ってね?』

恐る恐る。
綾斗の顔色を伺うように顔を上げる。

私はまた自惚れてたんだ。
視界に綾斗の笑顔が広がる。
それを当たり前に思ってた。

『もう誘わない。』

まさかこんな答えを貰うなんて、思ってもみなかったんだ。