彼が彼女になった理由(ワケ)

チョコチョコチョコ…
この間から綾斗はそればっかり。

チョコを作ったからって、一体どうなるっていうの。
どうせ去年を繰り返すだけじゃない。

『なーに固まってんだよ。』

綾斗はフゥと溜め息をつき、そう言った。

『…別に… ちょっと考え事…』

ったく、誰のせいだと思ってんだか…

『ま、いーや。 気にすんな。』

すぐに背を向けられて、よく見えなかったけど。
少し寂しそうに見えた。

自惚れちゃ駄目だって解ってるのに。
綾斗の表情一つ一つが気になるよ…




『腹減ったー。』

映画館を出て少し歩いた所にあるハンバーガーショップ。
私達は窓際の席を見つけ腰を下ろした。

1つ2つ3つ。

『綾斗、大食いの選手じゃないんだからさ〜。』

綾斗のトレーにはハンバーガーが3つ。
それにポテトとLサイズの烏龍茶。

どんだけ食うんだよ…

『よく太んないよねー。』

本当、羨ましい。
私なんかこのハンバーガー1つで太るんだから…

綾斗のトレーと体。
私のトレーと体。
見比べた事に後悔。
そして虚(ムナ)しくなった。

『夏波と違うからー、俺。』
『…いちいちムカつく男…』

見掛けによらずガキっぽくて。
意地悪で…

『嘘だって。 夏波、モテてんよ? クラスの男子に。』
『は? マジで?!』

思っても見なかった言葉に驚き、顔を上げる。
そんな私を見て綾斗は意地悪に笑った。

『夏波のその体がいいんだってよ? お前の足にクラス中の男子が注目してるし。』

あ、足に注目って…

『…そんなん嘘でしょ。』
『さぁねー。 男子に聞いてみたら?』

…聞けるか、馬鹿。
本当、綾斗って意味わかんない。

ガキだし意地悪だし、嘘つきだし。

『ま、俺もその一員だけど? 夏波ファン一号って事で。』

…でも…甘いし…

『綾斗、キモいし。 ってか一号って一番最初じゃんか。』

その甘さが癖になる。