どんなに気まずい雰囲気で別れても次の日はやってくる。

朝のオフィスは電話のベルが鳴り響きそれぞれが自分の業務をこなしていた。

淡々と。


山本も何もなかったかのようにあたしにいつも通りの仕事を依頼して昨日のことには全く触れようとはしなかった。



あたしは思う。


社会人になるとチャンネルを変えるように人生を生きている。

まるで役を演じる女優のように。

家庭が壊れても心が壊れても何も待ってはくれない。

誰かがこの場所からいなくなっても何も変わらない。


機械だったらひとつの歯車が外れたら動かなくなるのに会社という機械は 歯車のひとつやふたつどうとでもしてしまう。


なければないで何も困らない。

人間のほうがしがみつく。



まるで出来の悪いコメディ。




苦笑いしか浮かばない。

あたしは頭の痛みを覚えた


昨日の酒は頭の芯に居座って思考能力を鈍らせていた。

こんならちもない妄想に昨日の酒が拍車をかけて堂々巡りのカオスから抜け出せない。



席を立って洗面台に向かった。

ふいに吐き気を覚えてあたしは口を押さえた。

えずいたけど空っぽの胃には何も吐くものはなくてただむかつきだけが残った。



顔を上げると見知らぬオンナがこちらを見ていた。




青い顔で。