「せんぱーい!雄治さんの飲み会の話聞きました?
新ちゃんがぜひ先輩も誘えって。絶対一緒に行きましょうね」

絵里がオムライスをほおばりながら言う

「いいのかな。あたしが行って」

「いいですって。新ちゃんがぜひって」

絵里と新は仲がいい。いつも仕事の合間合間に冗談を交し合いじゃれあっている。

転勤して日の浅い新と入社してまだ間もない絵里。

独身同士、仲良くなっても不思議はない。

「仲、いいよね。井上さんと」

「ああ、前の部署で一緒だったんですよ。前から軽いヤツですけどいい兄さんですから。きっとおごってくれると思うし」

雄治。久しぶりだ。元気に仕事しているのだろうか。

また、前と同じようにゆっくり話したい、あたしはそう思った。

「うわさしてたら雄治さん着いたみたいですよ。雄治さーん」

奥野雄治はつい最近まで同じ部署で働いていた。

能力を買われて親会社にヘッドハンティングされたのだ。

生来の人懐っこさと親分肌の気質で退職したのに誰もが変わらない付き合いを続けている。

あたしも新入社員のころからなにくれとなく面倒を見てもらい、独身時代の無茶や愚痴にもいやな顔ひとつせず付き合ってくれた。


半年ぶりの再会だ。